応募期間
2023年6月15日 - 2023年12月31日
第3回 IGGネイチャーフォトコンテスト2024※当コンテストは終了しております
① テーマ「ネイチャーと光」(風景や野生の動植物、ネイチャーに含まれる全ての要素を光と空間を意識して写した作品。)
② 原則として本人が撮影したカラー写真に限ります
※過去の作品でも可。
※人工物が写り込んでいても大丈夫です。
③ 5枚1組として応募してください。
1人1回まで応募可。
第三回IGGネイチャーフォトコンテストも、心を揺さぶる数々の作品が寄せられました。
一枚一枚に込められた、光と自然、そして撮影者の想いが、まるで静かな詩のように私たちの心に響きます。
年々、参加者の皆様の技術と感性は磨かれ、自然と向き合うまなざしの深さや、瞬間を切り取る表現力に、審査員一同、感動と新たな発見の連続でした。
写真を通じて広がる感動と共感の輪が、これからも多くの方々に伝わっていくことを願ってやみません。
ご応募いただいたすべての皆様に、心より感謝申し上げます。
審査員長:写真家・瀬尾拓慶
受賞者・作品一覧
超難関を通過した「美しい光」を宿す作品達
最優秀賞
村主 龍平
作家コメント / 講評 / 使用機材
[コメント]
インドネシアの絶景をセレクトしました。
インドネシアに行ってみたい、こんな景色を見てみたい、と思われて興味を持ってもらえることを
コンセプトに掲げています。
[審査員講評]
村主さんによる本作は、インドネシアの大地と天空、そして森の奥深くまで、自然の多様な表情を見事に捉えています。
夕焼けに染まる稜線の道、星降る夜空と静かに佇む樹、深い緑に包まれた滝、そして夜明け前の丘陵に広がる星雲。
それぞれのシーンに、光と闇、静寂と生命の息吹が共存しています。
一枚一枚が独立した美しさを持ちながら、全体を通して“自然と人の心の交差点”というテーマが鮮やかに浮かび上がります。
特に、星空と水面に映るマングローブのシルエットには、宇宙と地上がひとつにつながるような詩情を感じました。
また、滝の作品では、森の奥へと誘われるような静謐さと神秘性が見事に表現されています。
村主さんの作品群は、自然の壮大さと繊細さ、そしてその中に佇む人間の小ささと尊さを、静かに、しかし力強く伝えてくれます。
見る人それぞれの心に、自然への畏敬と感謝、そして新たな発見をもたらしてくれる素晴らしい組写真です。
[使用機材]
・Nikon
作品説明
海の中にポツンと生えるマングローブツリーを中心に、水面まで映り込んだ星々が マングローブツリーを囲むように周囲に広がっていたのがとても美しいと感じ、 魚眼レンズを使用して撮影しました。
魚眼レンズの特徴である中心が大きく映るポイントを生かして、主題のマングローブツリーと、 これを背景からアシストする天の川を大きく映して強調しました。
f値開放での撮影で、周辺にはサジタルコマフレアが出ていますがこれも周りをキラキラと飾る プラスの要素として働いていると感じ、あえてこの設定で撮影しました。
作品説明
地平線の方まで続いていくような壮大な連なる丘の風景を切り取りました。
夕焼けの中でも最も美しいと感じた瞬間を選択し、中心の丘のところに綺麗に夕日の光が
逆三角形に入るタイミングを狙いました。
手前にごつごつした岩を置くことにより単調にならず、遠近感が感じられるように工夫しました。
作品説明
深い森の雰囲気を強調し、緑色の表現にこだわりました。
超広角で手前にオレンジっぽい葉脈を持つ葉を置くことによって、
熱帯の滝であることが想像しやすく日本とはまた違った雰囲気になっていると思います。
作品説明
朝日の出が近いタイミングで、雲にうっすらと光が当たり赤っぽくなっている瞬間の星空が、
黄泉の世界のような、異世界感溢れる雰囲気だったので、広大さを感じられ、
面白い形に連なった丘と共に切り取りました。
星空は通常雲がない方がありがたいと思っていましたが、朝日の光で面白い表現にもできると
感じ、これを活かせるように撮影しました。
作品説明
マングローブツリーをシルエットで主題に置き、背景にはとろけるようなオレンジ色になった
時間帯の美しい夕空を選びました。
風景ですが、開放f1.8で撮影したことにより、
手前の水面の透明感がより引き立てられたと感じます。
優秀賞
薄井 竜雅
作家コメント / 講評 / 使用機材
[コメント]
今回選出した5枚の作品は「自然の二面性と廻る命」が大きなテーマとなっています。
5枚の内【優しさに包まれる瀑布】【険しき奈落に射す光】と【幻想の森への道しるべ】
【魔窟の森へ続く】はそれぞれ「優しさ・険しさ」「幻想・魔窟」と相対する表現を意識しており、
これは様々な命に溢れ人々を癒してくれる自然も、時と場合によっては一瞬で人間の命を刈り取って
しまうような過酷な環境へを変貌する二面性を表しています。
そして【燃える命とその境界】はその相対する世界観を1つに繋ぐ1枚として選出しました。
【燃える命とその境界】が加わることで、この5枚は自然を廻る命のロウソクに例える事ができると考えます。
【優しさに包まれる瀑布】【幻想の森への道しるべ】では小さな灯が安定して長く燃えている状態だと考え、【燃える命とその境界】では風が吹き、灯は消えそうになりながらも蝋を消耗しながらより一層
明るく大きな灯をともしている状態だと考えられます。
最後に【険しき奈落に射す光】と【魔窟の森へ続く】では蝋は残りわずかとなり
今にも消えそうな灯をゆっくりと燃やしてる状態で、春になり新たな命のロウソクに灯がともるのを
待っている状態だと考えました。
この5枚の作品を通じて私は「自然の二面性」や「自然を廻る命」を表現するとともに、日本の自然の
雄大さや、写真で表現することの魅力を伝えたいと考えています。
[審査員講評]
薄井さんの作品は、森と水、季節の移ろいが織りなす静謐な詩情に満ちています。
深い緑に包まれた滝の流れ、霧に沈む白樺の林、秋色に染まる草原、荒々しい岩肌を流れる冬の滝、そして雪が残る森。
それぞれの一瞬が、自然の息づかいと静けさを見事に捉えています。
特に、光と影のバランス、色彩の抑制、構図の緊張感が際立ち、見る者に森の奥深さや時の流れを感じさせてくれます。
自然の中に分け入り、五感を研ぎ澄ませて向き合ったからこそ生まれる、静かで力強いまなざしが作品全体を貫いています。
薄井さんの写真には、自然と人との距離感、そしてそこに宿る物語が丁寧に描かれており、
観る人それぞれの心に静かな余韻を残す、素晴らしい組写真だと感じました。
[作家使用機材]
・Pentax k-1 mark ii
・HD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8ED DC AW
・smc PENTAX-FA31mmF1.8AL Limited
作品説明
【険しき奈落に射す光】
夏は生い茂る葉で見えないが、冬になり葉が落ちると滝壺が姿を現す。
撮影日は暗く分厚い雲が空を覆っており、岩壁の陰影は失われ滝壺には十分に光が届かず
まるで底の見えない奈落のようだった。
しかしほんの一瞬、わずかな雲の隙間から日の光が岸壁を照らした。
陰影を取り戻した岸壁は様々な色に分かれていて美しい反面、鋸の刃のような鋭さを
持ち合わせており、暗く底の見えない奈落のような滝壺と合わさって畏敬の念を抱かせる。
作品説明
【幻想の森への道しるべ】
早朝、山の稜線が明るくなり始めるも自分のいる森に日の光はまだ差し込まない。
辺りは濃い霧に包まれていた。
視界を遮っていた霧から抜けると目の前に白樺の木が生えていた。
その木の奥へ目を向けると森の奥へと続くように別の白樺の木が生えており、さらに遠くには霧に包まれている無数の白樺の木がうっすらと見える。
薄暗く霧が漂う森はどこか現実離れしており、その中でもはっきりと浮かび上がる
白樺の木は幻想の森の入口へといざなう道しるべのようだった。
作品説明
【優しさに包まれる瀑布】
山道を抜けた先にある非常に落差のある滝。
そこは滝壺に打ち付ける水によって周囲には絶え間なく轟音と飛沫があり、
とても荒々しく恐ろしい印象の空間だ。
しかし撮影時の滝周辺は霧で満たされているとともに、時刻は正午に近くほぼ垂直に光が
降り注いでいた。
霧と光によって滝の荒々しく恐ろしい印象は鳴りを潜め、べ ールに包まれたような優しく
神秘的な空間へと変貌していた。
作品説明
【燃える命とその境界】
登山道を超えた先にある山の斜面に囲まれた湿原。
そこでは斜面の樹木に先駆けて湿原内の植物が紅葉していた。
湿原の紅葉の色は冬になると枯れて地面に落ちてしまう葉の命ひとつひとつが
燃えているようだった。
一方で山の斜面の樹木の葉は青々としており、みなぎる生命力を感じさせ、湿原で燃える命を
引き立たせる。
その光景は私を圧倒し、湿原と山の斜面のコントラストは命の境界を連想させた。。
作品説明
【魔窟の森へ続く】
空には分厚い雲があり、その日の森は暗く鬱蒼としていた。
暗い森を抜けると視界が開け、視線の先には白樺が群生していた。
光が入らず先の見えない森に密集して生える白樺は暗闇の中に不気味に浮かび上がっており、細く幾重にも分かれている枝はまるで魔物の巣窟のような様相をしていた。
踏み入ってはいけないような恐怖を感じるなか、白樺の美しさに魅了されさらに奥へと
進んでいく。
優秀賞
坪井 智洋
作家コメント / 講評 / 使用機材
[コメント]
私は北海道の知床半島と言う場所で暮らしながら撮影をしています。
知床半島は山と川と海がとても近い距離で繋がっており、その急峻な地形と、気象条件により、光の状況が刻一刻と移り変わります。
もともとは、知床のダイナミックな生態系に漠然と憧れを持っていましたが、今はその2度と同じタイミングの来ない光の中で、
野生生物と同じ光を浴びながら野生生物の暮らす環境を撮影する時間がとても好きです。
知床には沢山の写真家が訪れます。
カメラを誰でも持つことのできる時代となり、自然が消費的に撮影されていくことに少し寂しさを感じています。
知床の生態系、美しさを伝えていけるようになりたい、そのためにはプリント等、作品として見ていただく機会を
作りたいと思い応募いたしました。
知床の多様性の象徴として大型の野生動物がクローズアップされることが多いですが、
魅力はそれにとどまりません。
大型野生動物が暮らすことのできる環境もとても美しいのです。
[審査員講評]
坪井さんの作品は、美瑛の冬が持つ幻想的な光景を、独自の視点と感性で鮮やかに描き出しています。
霧に包まれた丘陵が金色に染まり、雪原を照らす斜光が森に静かなリズムを刻む。
俯瞰から捉えた雪の森には、光が踊るように差し込み、見る者を異世界へと誘います。
樹氷越しに浮かぶ彩雲は、冬の空気に漂う奇跡の瞬間をとらえ、雪面に落ちる影と小枝の造形は、静寂の中に潜む生命の律動を感じさせます。
自然の偶然と写真家の直感が響き合い、冬の美瑛が持つ詩的な奥行きと、光と影のドラマが見事に表現された組写真です。
作品説明
美瑛町に来てから冬の朝車についた温度計を見るのが楽しみになった。
車のエンジンをかけると-18℃。
そんな朝はどこに行っても美しい光景がむかえてくれる。
この日はダイヤモンドダストを狙いまだ暗い丘の上をロケハンしていた。
多くの場所で木々が霧氷していたが、この場所だけは冬の丘には珍しい朝霧までもが流れ混んでいた。
山際から雲ひとつない空に太陽が昇ってきた瞬間、予想通りダイヤモンドダストが舞った。
日曜日ということもあり、たくさんの人が同じ光景を見て声を上げていた。30分ほど経過し、周りに誰もいなくなった頃、丘の上を吹いていた風が止んだ。
霧氷したカラマツの木々を背に冬の妖精たちは今日一番の舞を見せてくれた。
作品説明
美瑛町には全国的にも有名な観光地となった青い池がある。
しかしながら冬の青い池は湖面が凍結し、その上に雪が降ることで白い池となってしまうため、美瑛ブルーを見ることはできない。
夕方に丘を散策していると、隣の小高い丘と夕方の光が作り出す雪面の影に気がついた。
朝方はよく通っていたこの場所も夕方に訪れることは珍しかったため今まで気がつかなかった。
1mほど雪が積もって体の半分ほどしか見えなくなった木々が立ち枯れを連想させる。
それはまるで丘の上にこの時間だけ現れる青い池のようだった。
作品説明
冬の美瑛町では青空が広がることは珍しい。
この日は青空が広がっているだけではなく、山にも雲がほとんどかかっていなかったため彩雲を狙いに十勝岳へと向かった。
山に着くと天気予報通りの晴天に恵まれてはいたが、風速10メートル近い風が吹いており、体感温度は-20℃程。山の西側ということもあり、9時になってようやく稜線から太陽が昇ってきた。小さな雲が太陽付近に流れていく瞬間、雲は虹色に輝いた。
前景に置く木々を散策していると、肩車をして空に向かって指をさす親子のような木を見つけた。
太陽の位置や印象的な雲を待ち捉えた「希望の光」を感じさせる1枚となった
作品説明
美瑛町では春や秋など昼夜の寒暖差が激しい時期にはよく朝霧に包まれることがある。
しかしながら冬に朝霧が出るのはとても珍しく、この日はよく撮影に行く丘の上も霧に包まれていた。
少し小高いところまで上がってくると霧の中から抜けることができた。
太陽が昇ってくる場所には厚い雲が掛かっており、日の出時刻から雲間を抜けるまで待つこと20分。
それでもまだ高度の低い太陽が丘の朝霧を美しく照らした瞬間を狙いシャッターを切った。
作品説明
美瑛町には丘だけではなく十勝岳連峰というとても印象的な山々がある。
本格的な冬山シーズンに成長した樹氷を見ようと雪山を登ってみたが、暖冬の影響か雪が思ったほどついていない。
それでも夕方の光と美しい木々の写真を1時間ほど撮影し、日没が近づいてきたタイミングでドローンを飛ばした。
日没間際の濃いオレンジ色の光が木々の間に差し込み、その光がまた木々を形どるというドローンならではの不思議な光景を目の当たりにした。
佳作
香川 利博
作品説明
朝方にコスミック山稜をトラバースしていく登山者達。
朝日が雲やダイアモンドダストによって拡散され、闇が抜けていく。
[作家使用機材]
・Olympus E-M10 Mark II
佳作
若松 祐也
作品説明
伊豆の海には陸から独立した海岩が数多く存在しています。
そんなかっこいい岩を自分で探し、見つけた場所で朝日と合わせて撮影しました。
日の出の時間になると海面と岩が朝日に照らされて息を吞むような景色でした。
また、この日は赤い藻がたくさん海面にうかんでおり、朝の光と相まって赤色の彩度がより濃く感じました。
使用機材
・ボディ Canon EOS R6
・レンズ RF14-35mm f4 l is usm
佳作
上島 有貴
作品説明
この作品は、冬の静寂の中にある一瞬の光を捉えたもので、凍りついた枝と湖面に映る朝の光が織りなす、自然の対話を感じていただけたら嬉しいです。
自然風景にのめり込んだ頃から冬の景色に惹かれてきましたが、その静けさの中にある”音のような光”を表現することが、自分のテーマでもあります。
このような形で評価いただき、とても光栄です。
使用機材
・ボディー FUJIFILM GFX 50SII
・レンズ GF100-200mm F5.6 R LM OIS WR
佳作
渡辺 英基
作品説明
晩秋の紅葉も終わる頃、河原の霜が落葉と河原の石の間に降り、それが季節の変わり目のようで印象的でした。
[作家使用機材]
・Canon EOS R
・Canon RF24-240mm
佳作
都築 篤史
作品説明
冬の厳しい季節の中、ひっそりと他の木に囲まれながらも力強く腕を伸ばして必死に生を全うしようとしている様を表現しようとしたカットです。
この森が雪に覆われることは珍しいので、この大木にとっても厳しく感じる環境の中で着雪しながらも力強さを感じる枝を繊細に入れることで画面としての迫力を出すよう心掛けました。
また白をきれいに表現することで、森の持つ神秘性をより強調しています。
[作家使用機材]
・ PENTAX 645Z
・HD PENTAX-DA645 28-45mmF4.5ED AW SR
佳作
鈴木 大輝
作品説明
「彫刻」
岩だらけの地形に囲まれた滝の作品です。
前景の甌穴、滝の周りの岩は滑らかで彫刻されたような形をしていてとても面白い地形でした。
奥には紅葉した木々が並び自分の中でとてもお気に入りの撮影地です。
[作家使用機材]
・Nikon Z7Ⅱ使用
佳作
門間 龍一
作品説明
「落葉、舞う」
奥多摩散策中、風が吹くたびにひらひらと舞う落ち葉に気づき、
逆光位置で落ち葉が輝くようにポジションを決めて撮影。
目の前の樹も、背後から光が当たることでエッジが輝き、印象的な写真が撮れた。
[作家使用機材]
・FUJIFILM X-H1